年齢を重ねるごとに髪の分け目が薄くなり、頭皮が見えてきたと悩む女性は多いのではないでしょうか?
このままでは禿げてしまうのではないかと心配になりますよね。
もしかしたら、その症状はFAGAと呼ばれる脱毛症かもしれません。
この記事では、FAGAとはどのような症状なのかをお話しすると共に、発症する原因や治療方法について詳しくご説明していきます。
この記事の目次
FAGAとは?
FAGAとは女性に発症する脱毛症のことで、女性男性型脱毛症とも呼ばれています。
「脱毛症」と聞くと、髪が抜け落ちて頭皮が見えてしまうイメージが強いかと思いますが、FAGAの症状は少し違うのです。
この章では、FAGAの症状や特徴、男性に発症する脱毛症(AGA)との違いをお話ししていきます。
FAGAの症状と特徴
FAGAは40代前後以降の女性に発症する女性特有の脱毛症です。
ごく稀に、20代前後の若い女性でも発症することがあります。
FAGAは髪が抜け落ちるのではなく、一本一本の髪が細くなっていき弱まることで、全体的に薄くなり頭皮が見えやすくなることが特徴です。
また、分け目や生え際などに発症します。
これらの症状には段階があり、進行状態によってⅠ~Ⅲ型の3つに分けられます。
Ⅰ型…分け目付近の地肌がうっすらと透けて見えている状態
Ⅱ型…Ⅰ型よりも地肌が見えている部分が広がっている状態
Ⅲ型…薄毛が進行して地肌が目立っている状態
AGAとは症状や進行の仕方が違う
FAGAとAGAでは、症状や進行の仕方が全く異なります。
AGAとは男性特有の脱毛症のことで、男性型脱毛症とも呼ばれています。
FAGAは分け目から薄くなりますが、AGAは額の生え際や頭頂部から薄くなり、側頭部や後頭部の髪が残りやすくなっています。
AGAが発症してしまう原因は男性ホルモンの影響とされています。
男性ホルモンの一種であるテストステロンは本来ならば体毛を増やす働きをしますが、前頭部から頭頂部の毛根に存在する酵素(5aリダクターゼ)と結びつくと、DHT(ジヒドロテストステロン)という別の男性ホルモンに変化します。
DHTは髪の成長を妨げたりヘアサイクルの成長期を短くしたりする働きをします。
ヘアサイクルとは、新しい髪が生えてから抜け落ちるまでの周期のことを言います。以下の図のように、髪が成長する成長期⇒成長が止まる退行期⇒髪が抜け落ちる休止期⇒新しく生えてくる前期成長期を繰り返すのです。
男性ホルモンの影響で成長期が短くなると、髪がしっかりと成長せず抜け落ちやすくなり薄毛を進行させてしまいます。
FAGAとAGAの違い・まとめ
FAGAが発症する6つの原因
症状が分かっても、何が原因で発症するのか分からないと改善も難しいですよね。
原因を知ると改善だけではなく、予防することも出来ます。
この章では、FAGAが発症する6つの原因をご紹介します。
加齢による女性ホルモンの減少
FAGAの代表的な原因は、加齢による女性ホルモンの減少です。
女性の体内には女性ホルモンと男性ホルモン(男性より量は少ない)が存在しています。
女性ホルモンは髪やコラーゲンの生成を促し、髪にハリやコシを与えたりヘアサイクルの成長期を延ばしたりする働きをします。
健康的な髪を維持するためには欠かせないものなのですが、加齢と共に減少してしまうのです。
女性ホルモンが減少することで男性ホルモンが優位になり、男性ホルモン特有の効果が発揮されることで薄毛を招いてしまうのです。
また、加齢によって皮脂も減少するため、髪のハリやツヤ、ボリュームが失われる恐れがあります。
遺伝
遺伝によってFAGAが発症する場合もあります。
髪の癖や太さなどは遺伝によって決まります。それと同様に薄毛も両親から遺伝されることがあります。
しかし、FAGAはAGAに比べると遺伝する確率が低くなっています。
AGAは両親どちらかの遺伝子を引き継ぐことで発症する可能性がありますが、FAGAは両方の遺伝子を引き継がないと発症しないからです。
生活習慣によるもの
お酒や煙草、運動不足などの生活習慣の乱れが薄毛に繋がります。
お酒の飲み過ぎは肝臓に負担がかかってしまい、髪の成長に必要なタンパク質を作ることが出来なくなります。
煙草にはニコチンと呼ばれる血管を収縮する成分が含まれているため、喫煙することで血管が圧迫され血行不良を招いてしまいます。
体内の栄養は血管を通り様々な箇所に運ばれるので、血行不良になると頭皮まで栄養を十分に届けることが出来ず、髪が弱々しくなってしまうのです。
運動をしないと血流が滞ってしまうので、運動不足だと血行不良を招きやすくなります。
栄養不足
栄養不足は体だけではなく、髪や頭皮にも影響を及ぼしてしまいます。
極端な食事制限や不摂生な食事を続けていると栄養バランスが偏り栄養不足になってしまいます。
先ほど栄養が運ばれていく過程をお話ししましたが、栄養は生命の維持に重要な器官から優先的に運ばれます。髪は生命の維持に関係がないので、優先順位が低くなります。
元々頭皮まで運ばれる量が少ないので、栄養不足では更に栄養を得ることが難しくなってしまうのです。
ストレスを溜めている
20代前後の女性はストレスが原因という場合が多いです。
私たちは人間関係や騒音、経済などのストレスと共に生活をしているので、ストレスを感じやすいです。
しかし、ストレスを感じることで自律神経(自分の意思ではコントロールが出来ない神経)が乱れ、頭皮の血流が悪くなります。
また、ストレスが溜まると体内にある栄養素の亜鉛を大量に消費します。
亜鉛は髪の主成分であるケラチンタンパク質を作るために必要な栄養素なので、不足してしまうとタンパク質と合成することが出来ず主成分を作ることが出来なくなってしまうのです。
過度なヘアケア
過度なヘアケアをすることで頭皮や髪に負担がかかってしまいます。
以下のような行為は頭皮や髪にダメージを与えてしまい、乾燥や炎症などの頭皮トラブルを招く恐れがあります。
- 一日に何度も洗髪をする
- パーマやカラーリングなどを頻繁にする
- 洗浄力が強いシャンプーで洗う
- ドライヤーやヘアアイロンの熱
- 洗浄不足
- 爪を立ててガリガリと洗う
FAGAの治療方法
FAGAはなるべく早く治療をすることで治る可能性が高くなります。
症状が進行してから治療をすると、元の状態に戻りにくくなってしまうので気を付けましょう。
また、FAGAの治療は国から美容目的と判断されているので、保険適用外になります。そのため治療費は少々高価です。
以下でFAGAの治療方法を5つご紹介致します。
内服薬による治療
内服薬には「パントガール」という薬を使用します。
パントガールとは発毛を促進する効果を持つ薬剤で、価格は一箱90錠入りで7,000~12,000円程です。
たくさんの栄養素が配合されているため、毛根を活性化する効果があるので抜け毛の減少に期待が出来ます。以下が栄養素になります。
- ケラチン…髪の主成分であるタンパク質
- シスチン…タンパク質を構成するアミノ酸
- パントテン酸カルシウム…皮膚や髪の健康維持を助ける
- ビタミンB群…髪質を健康に保つことが出来る
しかし、パントガールには即効性がないので、効果が表れるまで期間が必要になります。約3ヶ月ほど継続することで少しずつ効果が表れてくるでしょう。
また、AGAでは「プロペシア」という内服薬を使用していますが、この薬は女性には効果がない上に危険性が高いため間違って服用しないようにしましょう。
妊娠中に服用すると胎児の生殖器が発達異常をおこすなど悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。
このように、女性と男性では同じ脱毛症の薬でも、効果や体への影響が全く異なるので、必ず自分に処方された薬を服用しましょう。
外用薬による治療
外用薬には「ミノキシジル」という成分が配合された塗り薬を使用します。
ミノキシジルには血管を拡張する働きをするので、頭皮の血流を良くして栄養を届けやすくします。
また、頭皮に塗るため頭皮の下にある毛母細胞に直接働きかけ細胞を活性化させます。これにより細胞の増殖やタンパク質との合成を促すことに期待が出来ます。
しかし、使い方を守らないとかゆみや頭痛、めまいなどの副作用が出る恐れがあるので気を付けましょう。
これもAGAの治療に使われていますが、ミノキシジルの配合濃度は男性が5%、女性が1%と異なりますので、必ず自分に処方された外用薬を使ってください。
育毛メソセラピー
有効成分を含んだ薬剤を毛根に注入する治療法を育毛メソセラピーと言います。
内服薬や外用薬にも使われているミノキシジルやヒアルロン酸などの成分が薬剤に配合されています。
注射器を用いて頭皮に直接注入するので、他の部分への影響や副作用が少ないと言われています。
しかし、これも即効性がないため半年以上時間をかけて行う施術です。
施術費用は病院やクリニックによって変わりますが、大体は1回20,000円~となっています。
注射器を使わずに薬剤を頭皮に散布する方法もあるので、注射や痛みが苦手という方はそちらを試してみてください。
HARG治療(ハーグ)
HARG治療では、髪の再生能力を高めることに期待が出来ます。
施術方法は、幹細胞から抽出した成長因子(細胞の増殖や分子を促進するタンパク質の総称)と、ビタミンやアミノ酸などの髪を成長させるために必要な成分を混ぜたHARGカクテルという薬剤を頭皮に注入します。
薬剤の成分は、一人一人の症状に応じて配合量を調節してくれます。
一回の施術は10万前後で、3ヶ月~半年程度続けることで効果を実感することが出来ます。
この治療法は、日本医療毛髪再生研究会から許可を受けた病院でのみ施術が可能になります。どの病院でも施術できるわけではありません。
自毛植毛
薄毛が気になる部分に自分の髪を移植する治療法を自毛植毛と言います。
人工的な髪ではなく自分の髪を移植するので、副作用の心配がありません。
しかし、植え付けがまばらだと見た目が不自然になる恐れがあるので、植毛をするには高い技術が必要になります。そのため、施術をする場合は病院や医師をしっかりと調べましょう。
また、植毛をした部分が元気になっても、活用された部分の髪が少なくなり頭皮が見えてしまう可能性もあるのです。
費用は移植する毛包の単位で決まるので、個人差があります。
日常生活で出来るFAGAの予防方法
FAGAを発症させないためにも日常生活を見直して予防しましょう。
栄養バランスを考えた食事をとる
髪を健康的にするためにも、栄養のバランスを考えて食事を摂取しましょう。
髪に必要な栄養素は、タンパク質やビタミンB群、ミネラル、亜鉛です。
これらの栄養素が不足すると、髪が弱々しくなります。
不足させないためにも積極的に栄養を取りましょう。以下はそれぞれ栄養が豊富に入っている食材です。
- タンパク質…肉類、魚類、卵、大豆製品、乳製品
- ビタミンB群…豚肉、うなぎ、豆類
- ミネラル・亜鉛…牡蠣、緑黄色野菜、肉類、卵、海藻類
また、大豆にはイソフラボンという女性ホルモンに似た働きをする成分が含まれています。そのため、摂取することで女性ホルモンを補うこともできます。
これらの栄養はサプリメントで摂取することが出来ます。
禁煙や睡眠
禁煙や十分な睡眠をとることが薄毛予防に効果的です。
煙草は髪の成長を邪魔するので禁煙又は本数を減らしましょう。髪だけではなく体にも悪影響を及ぼすのでなるべく吸わないことをオススメします。
また、髪を成長させるための成長ホルモンの分泌が活発になるのは睡眠中です。
特にゴールデンタイムと呼ばれる22時~深夜2時の間に分泌が活発になるので、この時間に熟睡するようにしてください。
ストレスを発散する
ストレスを溜め込まないように発散をしましょう。
買い物や運動、睡眠などストレス発散方法は人それぞれです。
そのため、自分に合ったストレス発散方法を見つけて定期的に発散してください。
ヘアケアの見直し
シャンプーの種類や頭の洗い方など、普段行っているヘアケアを見直して改善しましょう。
シャンプーが刺激となることもあるので、低刺激のものを使うようにしましょう。
そこでオススメなのがアミノ酸シャンプーです。適度な洗浄力と脱脂力を持ち合わせているので、頭皮に必要な潤い(皮脂)を守り余分な汚れだけを洗い落とすような効果もあります。
また、高い保湿効果もあるため乾燥に効果的です。
頭皮を洗う際は、ゴシゴシ洗うのではなく、指の腹で頭皮を揉み込むように洗いましょう。そうすることで、頭皮が解されて血行を良くすることが出来ます。
他にモ、ドライヤーやヘアアイロンの温度を下げたり、カラーリングやパーマは頻度を減らしてダメージの少ない薬剤を使うことも予防になります。
まとめ
FAGAについて理解は深まりましたでしょうか?
FAGAとは40代前後以降の女性が発症しやすい脱毛症のことで、女性男性型脱毛症とも呼ばれています。
髪の分け目や生え際の周辺から徐々に薄くなり、症状が進行すると範囲が広がって頭皮が見えてしまう恐れがあります。
発症の原因は加齢による女性ホルモンの減少を言われていますが、他にもストレスや生活習慣の乱れが原因という場合もあります。
治療方法は内服薬が外用薬、植毛など様々な方法があります。人によって合う治療法は違うと思うので、医師に相談して決めましょう。
症状が進行すると元に戻りにくくなるため、治療はなるべく早くしましょう。
また、発症させないためにも、日頃から頭皮や髪気遣うようにしてください。
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。