頭皮に赤みやかゆみ、痛みを感じたことはありませんか?
これらは頭皮に炎症がおきている証拠です。
頭皮は髪が生えているので熱が籠りやすく、雑菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。そのため他の体の部分よりも炎症がおこりやすいのです。
また、表面が見えにくいことから炎症が悪化するまで気が付かないというケースが多いです。
症状には個人差があるため、かゆみだけという人もいれば頭皮が赤くなりじゅくじゅくとした状態になる人もいます。
実は、炎症は症状や発症原因によって4種類に分けることが出来ます。
- 接触皮膚炎
- 脂漏性皮膚炎
- 皮脂欠乏性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
今回は上記4つの炎症の特徴や原因、対策方法を詳しくご説明します。
この記事の目次
皮脂に原因物質が触れることで発症する接触皮膚炎
原因となる物質が皮膚に接触することで発症する炎症のことを接触皮膚炎と言います。
「かぶれ」と呼ばれることもあります。
同じ箇所に炎症がおきることが接触皮膚炎の特徴です。
炎症がおきた箇所はかゆみやヒリヒリ感があり、紅斑(赤く斑になる)や丘疹(ブツブツ)、小水疱(水ぶくれ)を伴うことがあります。
発症するタイミングには個人差があるため、原因となる物質に触れてすぐ発症する人もいれば、半日程経過してから発症する人もいます。
原因
接触皮膚炎の原因は3つあります。
刺激性皮膚炎
刺激性皮膚炎は、毒性や刺激性の高い物質が肌に直接触れることで発症します。
シャンプーや洗顔などに使われている強い酸やアルカリ製品、動物や昆虫が持つ毒が原因となります。
アレルギー性皮膚炎
ある特定の物質に対して過敏な反応をおこして発症するのがアレルギー性皮膚炎です。
自身の持つアレルギーが原因となるため、人によって原因となる物質は異なります。
光接触皮膚炎
肌に付着しているものが光と反応することで光接触皮膚炎がおこります。
日焼け止めや化粧品、塗り薬などの肌に直接塗るものが原因となります。
治療方法
接触皮膚炎を治すためには、原因となる物質を肌に接触させないことが重要になります。
炎症を抑えるためにステロイド軟膏を処方されることがありますが、薬で治しても原因となる物質との接触を避けない限り発症を繰り返し、悪化してしまう恐れがあります。
そのため、原因となる物質が何なのかをしっかりと調べてください。
過剰な量の皮脂が原因となる脂漏性皮膚炎
過剰な皮脂量によって発症する炎症のことを脂漏性皮膚炎と言います。
脂漏性皮膚炎は頭部や顔、わきなどの皮脂腺(皮脂を分泌するところ)が多い部分に発症しやすいことが特徴です。
過剰な量の皮脂が頭皮に残ると、頭皮がベタベタしたり白いフケや黄色く脂っぽいかさぶたのような塊のフケが出ることがあります。
それだけではなく、頭皮が赤くなりかゆみを感じる場合もあります。
脂漏性皮膚炎は女性よりも男性に発症しやすく、この他にも3ヶ月未満の乳児や思春期の方、40~60代の方など様々な人に発症します。
原因
脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌が原因となります。
睡眠不足や運動不足、栄養不足などによる生活習慣の乱れや、ストレスによるホルモンバランスの乱れが原因となり皮脂が過剰に分泌してしまうのです。
そもそも皮脂は紫外線やホコリなどの外敵から頭皮を守り、頭皮の潤いを守る役割をしていますが、皮脂量が多いと洗い落とすことが困難になり頭皮に余分な皮脂が残ってしまう恐れがあります。
過剰な量の皮脂は放置すると酸化して固まり、毛穴を防いでしまうため炎症がおこるのです。
マラセチア属真菌という誰の皮膚にでもいる常在菌が炎症を招く場合もあります。
マラセチア属真菌は皮脂を分泌する働きをしており、分解された皮脂は遊離脂肪酸という炎症物質に変化します。
この炎症物質が毛穴の中を刺激することで炎症がおこるのです。
また、脂漏性皮膚炎は冬の乾燥によって症状が悪化してしまう場合もあります。
治療方法
脂漏性皮膚炎の治療方法は生活面から改善していく方法と薬を使う治療法の2種類があります。
生活面から改善する方法
脂漏性皮膚炎を治すためには皮脂の分泌量を正常に戻し、頭皮を清潔に保つことが重要になります。
皮脂量を元に戻すには食事や睡眠などの生活習慣を見直し改善をしましょう。
バランスのいい食事を心がけることはもちろんなのですが、ビタミンB2やビタミンB6、ビタミンCなどの栄養素は皮脂の分泌を抑制する働きをするので、積極的に摂取してください。
また、ストレスや疲れを溜め込まず発散することも改善に繋がります。
そして頭皮を清潔に保つためには正しい洗髪方法や頭皮を優しく洗えるシャンプーを使うなどして、頭皮に余分な皮脂が残らないように洗うことが大切です。
爪を立ててガリガリと洗うと頭皮が傷つき雑菌が入り込む恐れがあるため、柔らかく力加減を調節できる指の腹を使い揉み込むように洗ってください。
脂漏性皮膚炎で悩んでいる方は、適度な洗浄力(洗い落とす力)と脱脂力(皮脂を落とす力)を持ち合わせており頭皮や髪を優しく洗うことが出来るアミノ酸シャンプーや、フケに効果的な薬剤(ミコナゾールやピロクトンオラミン)を配合している薬用シャンプーがオススメになります。
薬による治療
脂漏性皮膚炎は炎症がおきた箇所にステロイドなどの塗り薬を使い症状を緩和させます。
顔や腕は塗りやすいため軟膏タイプの塗り薬を使いますが、頭皮は髪があり塗りにくいことからローションタイプを使用します。
さらに尿素含有のローションやオリーブオイルを使うとフケを除去しやすくなります。
肌の乾燥が原因となる皮脂欠乏性皮膚炎
肌が乾燥することで発症する炎症のことを皮脂欠乏性皮膚炎と言います。
乾皮症や乾燥性皮膚炎と呼ばれることもあります。
肌が乾燥することで頭皮が薄くなりひび割れをしているのが皮脂欠乏性皮膚炎の特徴です。ひび割れがおこることでフケが発生します。
頭皮の表面は水分や保湿成分を含んだ角質層があり、肌に潤いを与える働きをしています。この水分を蒸発させないためにバリア代わりとなる皮脂膜(皮脂と水分で出来た自然の保湿剤)で覆われています。
肌が乾燥するとこのバリア機能が低下してしまい炎症がおこるのです。
皮脂欠乏性皮膚炎がおきている肌は刺激に敏感になっているため、少し擦れただけでかゆみを感じます。我慢できずに掻いてしまうと肌の表面が傷つき炎症を悪化させてしまう恐れがあります。
原因
皮脂欠乏性皮膚炎は乾燥肌の人に発症しやすいとされています。
乾燥肌になってしまう原因は3つあります。
一つ目は加齢です。これは老化現象のひとつなので、ほとんどの人は高齢になると皮脂量が自然と減少してしまうのです。
二つ目は空気の乾燥です。年齢関係なく秋冬などの空気が乾燥する時期は、空気と同様に肌も乾燥しやすくなっています。外気だけでなく室内でもエアコンや暖房器具が肌を乾燥させます。
三つ目は洗髪です。一日に何度も頭を洗ったり洗浄力や刺激性が強いシャンプーを使ったりすると、頭皮の潤いを保つために必要な皮脂まで取りすぎてしまい乾燥を招く恐れがあります。
治療方法
皮脂欠乏性皮膚炎の治療方法や乾燥対策を4つご紹介します。
外用薬を塗り保湿をする
乾燥している箇所にワセリンやヒルドイドなどの保湿剤を塗りましょう。
肌がしっとりとしている入浴後などに塗ると効果が更に高まります。
症状が酷い場合は、かゆみを抑える効果があるヒスタミン薬や炎症を抑える効果があるステロイド外用薬を使います。
病院ではあなたの症状に適した薬を処方してくれるでしょう。
室内の湿度をあげる
寒い時期は暖房によって室内の空気が乾燥するため、加湿器で室内の湿度を上げて乾燥を防ぎましょう。
湿度は60%くらいが丁度良いとされています。
加湿器を持ってないという方は、ボウルに水を入れて部屋に置くだけでも加湿効果があるので、是非試してみてください。
ぬるめのお湯で洗う
入浴時に熱すぎるお湯を使うと皮脂を取りすぎてしまうので、浴槽やシャワーの温度は39~40℃程でぬるめに設定しましょう。
ぬるくても入浴時間が長いと皮脂を失う恐れがあるので、浴槽に浸かる場合は15分程と短時間で済ませるようにしてください。
シャンプーを替える
自分が使っているシャンプーにどのような成分が配合されていてどのような効果を発揮するのかを確認してみてください。
もし、刺激性や洗浄力が強いシャンプーを使っている場合は、皮脂を取りすぎている可能性が高いのでシャンプーを替える必要があります。
脂漏性皮膚炎と同様で皮脂欠乏性皮膚炎の人にもアミノ酸シャンプーをオススメします。
発症を繰り返してしまうアトピー性皮膚炎
症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すのがアトピー性皮膚炎です。
アレルギーを持っている人や皮膚のバリア機能が弱い人が発症しやすい炎症です。
主な症状はかゆみや湿疹、肌の赤みがあげられます。
症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すため慢性化してしまい、なかなか治らないことがアトピー性皮膚炎の特徴です。
原因
アトピー性皮膚炎が発症するのはダニやカビ、ホコリ(ハウスダスト)、石鹸や化粧品、金属などが原因とされており、これらの物質が肌に刺激を与えてしまいます。
アトピー体質の人はもともとアレルギーがおこりやすいため、皮膚が乾燥しやすいと言われています。
そのため、皮膚のバリア機能が低下して上記の物質が皮膚から侵入してしまいます。
他にも、ストレスや疲労が原因となりアトピー性皮膚炎を招くことがあります。
治療方法
症状が軽い場合は保湿剤を塗り、ひどい場合(皮膚が赤くなる・熱を持つ・腫れるなど)は外用薬や内服薬を用いて治療を進めていきます。
薬を使って炎症を抑えることも1つの手ですが、アトピー性皮膚炎を治すためには皮膚を清潔に保つことが最も重要です。
アトピー体質の人は肌が敏感なので、シャンプーを買う前に配合されている成分を確認しましょう。
また、定期的に部屋や布団を綺麗にして、ホコリやダニなどの原因物質を減らすことも対策の1つです。
まとめ
あなたの頭皮におきた炎症はどの炎症でしたか?
- 原因となる物質が触れることで発症する『接触皮膚炎』
- 頭皮の皮脂量が過剰に分泌されることで発症する『脂漏性皮膚炎』
- 頭皮の皮脂が減少し乾燥することで発症する『皮脂欠乏性皮膚炎』
- 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す『アトピー性皮膚炎』
一口に炎症と言っても発症する原因や症状は異なるため、このように細かく4つに分けることが出来るのです。
炎症がおきた原因を調べて、それに合った治療をして治しましょう。
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。